確率的視点から見た当たり譜面

謝罪

穴冥の当たり譜面の確率、 \frac{1}{4}と書いていますが、正しくは \frac{2}{7}です。
現在修正済です。誤った情報を流し、大変申し訳ありません。

追記

続きを書きました。よろしければこちらも御覧ください。
確率的視点から見た当たり譜面 -Append Disc-

1. はじめに

 皆さん初めまして。
 今回、 #音ゲーマー達の発信所 (2枠目) Advent Calendar 2014という企画に参加させて頂きました。
 多くの方の素晴らしい記事を読ませて頂き、よい企画に参加出来たと思っております。これから書かれる方の記事も大変楽しみにしています。

 こちらの記事では、BeatmaniaIIDX(以下IIDX)における当たり譜面を確率的視点から見たことについて書いてみようと思います。
 なおDPの話題については触れませんので、当記事内でIIDXと記されていたら、SPに限定されます。
 

2. 当たり譜面

 IIDXには、『RANDOM』というオプションがあります。これはスクラッチを除く7つのレーンが、列ごとにランダムに配置されます。
 RANDOMオプションで降ってくる譜面は「正規、MIRROR譜面も降ってくる」と仮定すると、
 7! となり、実に5040通りとなります。
 よって当たり譜面の性質にもよりますが、BeatmaniaIIDXでは『当たり待ち』と呼ばれる、「RANDOMオプションをつけて、いい譜面が来るまで何度も選曲する」事がしばしば行なわれます。
 ところで、皆さんは当たり譜面といいますとどんな譜面を思い浮かべますか。一例として『嘆きの樹』SP ANOTHER(以降SPA)『Go Beyond!!』SPAの分割譜面、『冥』SPAの2鍵と3鍵が左右の手で取れる配置、というものは、多くの人が想像するのではないでしょうか。

参考リンク:TexTage様(http://textage.cc/)
・嘆きの樹
 これ(正規)が
 こんな感じに!

・冥
 これ(正規)が
 こんな感じに!


 参考までに、『嘆きの樹』SPA、『Go Beyond!!』SPAで分割譜面を引く確率は \frac{1}{35}(白鍵が皿と反対側に寄る方のみを考えた場合)、『冥』SPAの2鍵と3鍵が左右の手で取れる配置が来る確率は \frac{2}{7}(2鍵が皿と反対側に寄る方のみを考えた場合)となります。

3.当たり待ち

 ここで、以下の問題を考えてみましょう。統計学を学んだ事がある方にとっては見覚えのある問題だと思います。

  問:選曲回数
  嘆きの樹SPAは選曲するごとに \frac{1}{35}の確率で当たり譜面が降ってくる。
  当たり譜面が一度でも降ってくる確率が95%以上となるには
  何度選曲すればよいだろうか。

 以降問題を解くにあたって「当たり譜面=嘆きの樹の分割譜面」と置きます。
 嘆きの樹、PREMIUM FREE(以下PF)で10分間選曲し続けても一度も当たりが来なかった。という方もいるのではないでしょうか。 \frac{1}{35}、凡そ3%ですね。トキワの森ピカチュウより低い確率です。とはいえ、一回くらい引いても良さそうなものですが、ここで少し考えてみましょう。
 一般的に、確率 \frac{1}{n}で当たる譜面を n回選曲した時に一度以上当たり譜面が降ってくる確率は nを大きくしていくと、約63%に収束します。今回の問題の場合、35回選曲しても約63%の確率でしか当たりを引けないということです。逆に考えると、37%ほどの確率で一度も当たりが来ません。こう考えると結構多いですね。PF10分で選曲出来る回数は1曲辺り30秒と考えて、約20回。こう考えると、PF一回で一度も引かないということはよくあることなのかもしれません。
 

4. 選曲回数

 さて、本題に入りましょう。

 ここで問題を少し読み替えて見ましょう。

 《当たり譜面が一度でも降ってくる確率が95%以上となる》というのは
 《当たり譜面が一度も降ってこない確率が5%以下となる》と読み替えられます。

 また、もう少し読み換えてやると。

 《当たりではない譜面が毎回降ってくる確率が5%以下となる》となります。

 当たり譜面を引く確率が \frac{1}{35}なので、当たり譜面が降ってこない確率は \frac{34}{35}
 そのため、選曲回数を m回と置いてやると
 《当たりでない譜面が毎回降ってくる確率》は \left(\frac{34}{35}\right)^mとなります。
 すなわち、問題の解を得るには

  \displaystyle
   \left(\frac{34}{35}\right)^m\leq 0.05

 の式が成り立つ最小の mを求めてやれば良い。ということになります。

 ・まず、両辺の対数を取ります。0.05は見た目の関係上、 \frac{1}{20}と置きます。

  \displaystyle
   m \log_{10} \frac{34}{35}\leq \log_{10} \frac{1}{20}

 ・次に両辺を \log_{10} \frac{34}{35}で割ります。 \log_{10} \frac{34}{35} < 0のため、不等号が入れ替わります。

  \displaystyle
   m \geq \frac{\log_{10} \frac{1}{20}}{\log_{10} \frac{34}{35}}

 ・後は、計算機に頼って計算します。

  \displaystyle
   m \geq 103.34
 

 となりました。よって、問の答えとしては

  答:選曲回数
  104回以上選曲すればよい

 となります。案外多いですね。
 PF1度で約20回選曲すると仮定して、6度ほどPFを行えばほぼ確実に一度当たり譜面が降ってくるでしょう。
 それでも来なかった場合は5%弱を引いてしまったと嘆きましょう。

5. おわりに

 今回の記事では、嘆きの樹の当たり譜面に限定しましたが、他の譜面に対しても、当たり譜面が降ってくる確率がわかれば適用可能です。この方法を使い、自分自身が求めている当たり譜面がどのくらい選曲回数を重ねれば降ってくるのか、計算してみるのも面白いかもしれません。
 今回は、《一度でも降ってくる確率》に注目しました。しかし出来ることならば、《二回以上降ってくる確率》《三回以上降ってくる確率》もしくは、ピンポイントで《N回降ってくる確率》などを求められれば、それに越したことはありません。
 それを求めるためには二項分布というものを使用します。IIDXの当たり待ちという行為による結果は当たり譜面、もしくは当たりでない譜面の二択しかありません。これは、裏表で出る確率の違うコインでコイン投げをしているようなものです。複雑そうに見えて案外単純です。
 そちらについてもお話したいのですが、長くなってまいりましたので続きはまたの機会に。

 明日使える無駄知識を、あなたに。
 ここまで読んでくださった皆様に感謝の言葉を述べて、〆させて頂きます。ありがとうございました。